
皆さんは、ゴルフの経験はあるでしょうか。習い事として子どもの頃から始めていたり、大人になってから仕事の付き合いで始めたりと、スタートするきっかけはさまざまでしょう。いずれにしても、ゴルフは老若男女問わず楽しめるスポーツです。今回は、そんなゴルフの新たなニーズとして期待される「ゴルフビジネス」について詳しく解説します。
ゴルフビジネスの可能性とは
ゴルフには、ビジネスのチャンスが転がっているというのをご存知でしょうか。そもそもゴルフとビジネスには深い関係があるといわれており、ビジネスの交渉の場としても活用されてきました。
長いラウンドをまわる中で利用者同士がコミュニケーションを取ることで、ビジネスの話題や新しいアイデアを出し合うといったことも行われています。そして、実際に取引するケースなども珍しくはなくなってきたのです。
さらに、ゴルフは紳士のスポーツと呼ばれています。エチケットやマナーは、ビジネスでも求められる礼儀正しさなどと似ています。そのため社会人にとっては、体を動かすだけでなく、社会性も身につけられるのです。
ゴルフは社会性を身につけながら、コミュニケーションを取ることで、ビジネス面での信頼も構築していけるスポーツになっています。
ゴルフ市場
ゴルフ産業には幅広い市場があるため、ゴルフ場経営だけでなく、ゴルフ用品などさまざまなモノ・サービスが存在しています。そして、近年だと女性のゴルフ参加も増えているなど、客層にも変化が生じています。
この変化の要因として挙げられるのが、社会のデジタル化です。ゴルフ場やクラブハウスでのデジタル技術が普及し、スマホアプリでの予約やスコア管理などがかんたんに行えるのも、手軽にゴルフが始めやすくなった理由の1つです。
また、ゴルフウェアや用具にもテクノロジーが用いられたことで、快適性やパフォーマンスも以前と比べて向上しています。そのため、デジタル技術を積極的に活用していくことが、今後のゴルフ市場で勝ち残っていくための重要なポイントです。
そして、製品開発やマーケティング戦略の際にも常に新しい流行を理解して、戦略を立てていくことも大事なポイントです。
成功するゴルフビジネスモデルとは
ゴルフビジネスを成功させるために重要となってくるのは、幅広いニーズに対応すること、そして自分たちだけの独自性を生み出すことです。ゴルフ場を経営するとなった際、ゴルフは長いコースをまわると、当然ゴルフ場での滞在時間は長くなります。
そんな時に美味しいレストランなどが併設されていれば、ゴルフをしながら食事を楽しめるため、利用者のモチベーションも上がっていくことでしょう。このように、ゴルフ以外のサービスも充実させて、お客さんのニーズに対応していくことが大切です。
また、ゴルフ場を経営していく場所の特性に合わせて、その地域ならではのイベントを開催することも一つの手です。これにより、ゴルフ場だけでなく、地域も一緒に盛り上げていけます。そうすることでその地域から訪れる人を増やせるため、結果的にゴルフ場の集客につなげられます。
ゴルフビジネスの変化の歴史
ゴルフはこれまでの歴史の中で、多くのブームを経験してきました。下記では、そんなゴルフの過去と現在の変化やゴルフ経営について詳しく解説します。ゴルフの昔と今を知ることで、ゴルフビジネス参入のヒントを得られるかもしれません。
ゴルフの昔と現在
まずは、ゴルフの昔と現在を比べていきましょう。昔、ゴルフというスポーツがテレビなどを通じて有名になってくると、その人気は急速に日本全国に広がっていきました。
また、ゴルフ関連の商品も飛ぶように売れていったといわれています。現在と違う点としては、ゴルフをする人は特定の層に限られていたことが挙げられます。そのため、今のように女性が気軽に始められるスポーツではなかったのです。
そんな昔に対して、現在のゴルフはコロナ禍を経て、その需要が増加しているデータが発表されています。その要因としては、ゴルフがソーシャルディスタンスを守りながら行えるスポーツであると人々に再認識されたことが挙げられるでしょう。
また、デジタル技術の進歩が今のゴルフ人気を支えているともいわれています。オンラインでのゴルフレッスンやインドアゴルフなど、気軽な気持ちでゴルフができる場面が増えていったというのも要因の1つです。
気軽にできる場面が増えたことにより、昔は特定の層に限られていたゴルフも、今では若い女性でも始められるスポーツと認知されるようになっていきました。
今のゴルフ経営とは?
今までのゴルフビジネスは、会員になるための料金であったり、ラウンジで発生する料金が収益の大部分となっていました。しかし、ゴルフ市場は常に変化しています。
上記でも解説したとおり、現在では若者や女性の層が増えてきているため、そちらにターゲットを絞りながら利用者のニーズに沿ったサービスを提供する必要が出てきました。
そのため現在では、さまざまなプランを用意することで、利用者の都合に合わせて柔軟に選択できる取り組みを実施しているゴルフ場が多いです。
そして、インドアゴルフやシミュレーションゴルフなどで気軽に楽しみたい客層を取り込むのも、今のゴルフビジネスにおいては重要なポイントといえるでしょう。
ちなみに、日本で1番ゴルフ場が多い県は千葉県となっており、次点では兵庫県となっています。ゴルフ好きな人は、観光ついでに寄ってみるのも面白いかもしれません。
若者不人気でも大丈夫?新たなビジネスチャンス
近年だと「ゴルフは若者には人気がないんじゃないか」と考えている方もいるかもしれません。そんな若者のゴルフ離れを防ぐべく、ゴルフ業界もさまざまな取り組みを実施しています。下記では、若年層の顧客を取り込むために業界が取り組んでいる内容について詳しく解説します。
ショートコース
ショートコースを増やしていくのも、取り組みの1つとなっています。ショートコースとは、距離が短い小さなゴルフ場を指します。手軽にプレイできるので、初心者にはぴったりです。
このようなコースがゴルフ場に1つでもあれば、手軽にゴルフを始められるきっかけにもなります。そのため、経験の浅い若者を集めるためには、ショートコースの導入がおすすめです。
また、Z世代と呼ばれる若者を中心にタイパという言葉が浸透しています。タイパとはタイムパフォーマンスの略称で、時間効率を気にして動画を早送りで見たり、歌のイントロをカットして聴いたりなどをする若者が急増しているのです。
このような方々が18ホールをまわるとなると、時間がかかると感じてしまうかもしれません。しかし、ショートコースであれば「短い時間で楽しめた」と感じてもらいやすいです。
また、Z世代に限らず、手軽に楽しめるショートコースは初心者のゴルフ入門の導線として最適です。このように、ゴルフに限らずビジネスをスタートさせるうえでは、流行や世の中の流れを常に意識しておくことを忘れてはなりません。
デジタル技術を導入する
デジタル技術を導入するのも、若者にゴルフを楽しんでもらうための1つの方法です。AR・VRを駆使したゴルフ体験やスマホアプリでのスコア管理を提供することにより、以前よりもかんたんにゴルフを楽しめます。
また、最新のシミュレーターやVR技術が搭載されているスタジオを作れば、リアルなゴルフを若者に提供可能です。いきなりコースに行くのが不安という方にも、シミュレーションゴルフは人気となっています。
こちらの需要は、今後も高くなっていくことでしょう。また、室内にこのようなスタジオを設けることで、繁忙期やオフシーズンでも安定した収益が得られます。ゴルフビジネスを始める際には、ぜひ上記で紹介したシステムの導入を検討してみてください。
インドアゴルフ
インドアゴルフとは、屋内施設で実施されるゴルフ施設のことです。メリットとしては、天候に左右されない・常に安定した屋内環境で練習ができるといった点があります。そのため、ゴルフを始めてみようと考える若者にはぴったりの施設です。
近年はとくに夏の酷暑がひどくなっているため、天候に左右されないゴルフ場は大きなアドバンテージを得られます。また、室内であれば、上記で解説したようなシミュレーションゴルフを導入できます。
基本的にゴルフ場というのは、都内から離れた開けた土地にあるケースが多くなっています。そのため、住んでいる土地によっては、なかなかゴルフ場に通うのが大変な方も多いはずです。
その点シミュレーションゴルフであれば、狭い土地でもかんたんに設置できるため、遠いゴルフ場に行かなくてもゴルフを楽しめます。また、インドアゴルフ場は駅の近くに設置されているパターンが多いため、仕事終わりやちょっとした隙間時間にも最適です。
そして、インドアゴルフはフランチャイズ展開としても「初期費用が少ない」などの理由から注目されています。気になる方は、ぜひインドアゴルフのフランチャイズについてチェックしてみてください。
ゴルフ業界の経営課題と今後の展望について
最後に、ゴルフ業界と今後の展望について解説します。上記では、ゴルフはビジネスチャンスであるとお伝えしてきました。しかし、ゴルフ関連ビジネスを経営するうえでいくつか課題や問題が残されているのも事実です。
下記では、そんな課題の詳しい内容や、それを打破するための今後の展望や対策などについて解説します。これからゴルフビジネスに参入したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
収益の減少
収益の減少は、ゴルフ事業の経営をしていくうえで大きな課題となります。これは、ゴルフを利用する方の人口が減少していることを指します。しかし、コロナ禍で減少していたゴルフ人口も、コロナ禍が開けてからは前よりも競技人口が増えたという結果が報告されています。
増加した要因として挙げられるのは、ゴルフがソーシャルディスタンスを保ったまま行えるスポーツであるという点です。コロナウイルス流行の結果、ソーシャルディスタンスの重要性を改めて理解し、ゴルフはそれを気にせず楽しめることに多くの人が気づいきました。
そして、ゴルフ人気が再燃していったのです。とはいっても、日本全体では人口が減少し続けています。そのため、長期で見るとゴルフ場での収益の減少は避けられない問題になるでしょう。
高齢化の増加
ゴルフを楽しむ方の割合は、中高年層が1番多くなっています。その人たちの高齢化が進んでしまうと、体の不調や気力の減少、仕事を引退してゴルフをする理由がなくなるといった人も増えてきます。
そうすると、利用者の割合もおのずと減ってしまうでしょう。これも、ゴルフ事業を運営するうえで大きな課題です。また、20代や30代の若者のゴルフ離れも進んでいるという問題も依然としてあります。そのため、場合によっては新規でお客さんを獲得しづらいかもしれません。
ゴルフ場の老朽化
ゴルフ場の老朽化も、経営をしていくうえで大きな問題となります。改修工事するとなると、莫大な費用が必要になります。また、最新の設備へ投資する際には、さらに費用がかさんでくることでしょう。
そもそもゴルフ場を運営する際には、多額のランニングコストが発生します。その中でもコースメンテナンスは、18ホールのゴルフ場であれば、なんと年間1億円ほどにのぼるのです。
施設も30年ほど経てば劣化も目立ってきて、配管などの設備は目には見えなくても老朽化していくため、修繕や交換をしなくてなりません。
それだけでなく、近年のインフレによる材料費や人件費の高騰も、ダメージとしてのしかかってきます。このようなことから「経営する際には修繕やメンテナンス費用のことを頭に入れておく」というのが鉄則といえるでしょう。
競合の台頭
近年ではスポーツ施設の台頭により、ゴルフ業界も影響を受けています。大型スポーツ施設の中には、ゴルフで遊べるコーナーがあるだけでなく、バスケットボール・ボウリング・サッカー・バッティングセンターなどさまざまなスポーツが楽しめるコーナーが併設されています。
そのため、ゴルフを少し楽しみたいという人は、わざわざゴルフ場などの専門の施設に行かなくても、他のスポーツと一緒にゴルフも楽しめるようになっているのです。このようなスポーツ施設に打ち勝つためにも、しっかりと差別化を図っていくことが大切です。
今後の展望
この項では、上記のような経営課題を解決するための方法や対策について解説します。まず、1つ目の対策は、マルチ施設化していくことです。これは、上記で少し触れた大型スポーツ施設のように、ゴルフだけでなく、ジム・レストラン・プールなどのサービスを開始してお客さんを集める方法です。
ゴルフ以外のサービスを盛り込めば、ゴルフ以外の目的でも、お客さんが来てくれるようになります。また、1日中遊べるような施設になれば小さい子どもがいるファミリー層も訪れるようになり、新しいお客さんを取り込めます。
2つ目の対策は、ショートコースを導入することです。18ホールとなると、回るにはどうしても時間がかかってしまいます。時間が取れない方が楽しめなかったり、初心者には厳しいといった点が大きな機会損失につながりやすいです。
その点ショートコースであれば、3ホールや9ホールなどがあるため、短い時間で手軽に楽しめるようになります。
さらにショートコースは、芝から打つ経験を増やせる・スコアアップに必要な120ヤード以内のショットを打つ機会が増えます。このようなメリットがあることも、しっかり宣伝していくことが重要です。
3つ目は、デジタル化を活用することです。ARやVRを活用したトレーニング施設などを導入すれば、室内でもゴルフができるようになります。これにより、天候や季節に関係なくゴルフを楽しめるでしょう。
また、スマートフォンアプリを利用した予約・決済システムの導入で、利便性や魅力を向上させていくのも大切です。このようなシステムは、デジタル化を進めていくうえで欠かせないポイントです。
しかし、デジタル化にはどうしても初期費用がかかってしまいます。導入の際には、きちんと予算をシミュレーションすることが大切です。
まとめ
今回は、ゴルフビジネスの可能性や歴史、今後の展望などについて詳しく解説しました。ゴルフ市場は、コロナ禍を原因に売上が落ち込んでいました。しかし、2年ほど前から、コロナが落ち着いたことがきっかけに回復傾向にあります。そして、今後もその需要は継続していく見込みといわれています。また、ゴルフすることでコミュニケーションが図れるようになったり、紳士のスポーツと呼ばれるとおりビジネスマナーも身につけられます。このように、ゴルフすることで得られるメリットをしっかり宣伝しておくというのも、ゴルフビジネスするうえでは重要です。今回の記事を読んで、ゴルフビジネスを始めたいと思った人や、少しでも興味の湧いた人がいれば幸いです。ゴルフビジネスをするのであれば、本記事で紹介した内容を参考にしながら挑戦してみましょう。